Meta、子ども安全裁判で3.75億ドルの賠償命令。Section 230の壁が崩れた
Meta、子どもの安全に関する裁判で史上初の敗訴。3.75億ドル(560億円)賠償。Section 230を迂回した判例が確立。

Metaが負けた。しかも大負け。
ニューメキシコ州の陪審員がMetaに対して3.75億ドル(約560億円)の賠償を命じた。理由は「プラットフォーム上で子どもを性的搾取から守らなかった」「ユーザーに危険性を警告しなかった」。全ての訴因で有罪。
テック企業が子どもの安全に関して陪審裁判で負けたのは、アメリカ史上初。
何があったの
ニューメキシコ州の司法長官ラウル・トレズが2023年にMetaを訴えた。きっかけは覆面捜査。捜査官が13歳の少女のアカウントを作ったら、性的な画像が送られてきて、成人からのコンタクトが殺到した。
6週間の裁判では、Metaの内部メールや報告書が公開された。Meta幹部、エンジニア、内部告発者、精神科医が証言台に立った。
陪審員は「1人の子どもにつき5000ドル(上限額)」を適用して、合計3.75億ドル。陪審員の一人は「全ての子どもが最大額に値すると思った」と語った。
Section 230が破られた
ここが歴史的なポイント。
テック企業は30年間、Section 230(通信品位法第230条)という法律に守られてきた。「ユーザーが投稿したコンテンツの責任はプラットフォームにない」という盾。
ニューメキシコ州はこれを迂回した。「ユーザーのコンテンツじゃなくて、Metaのアルゴリズム設計が問題だ」と主張。子どもに有害なコンテンツを「推薦」するアルゴリズムは、ユーザーの投稿とは別物。プラットフォームの「設計判断」の責任を問うた。
そしてそれが通った。
暗号化の問題
裁判中に明らかになった内部文書がえぐい。
2019年にザッカーバーグがMessengerのエンドツーエンド暗号化を発表したとき、Metaの社員が「暗号化すると年間750万件の児童性的虐待報告が法執行機関に提出できなくなる」と議論していた。
つまり「暗号化でプライバシーを守る」と「子どもの虐待を検出できなくなる」のトレードオフを、Meta自身が認識していた。
次に何が起きるか
40以上の州の司法長官がMetaを訴えている。ニューメキシコ州の判例が確立されれば、同様の訴訟が全米で勝ち始める可能性がある。
Metaは「判決に異議を唱え、控訴する」と発表。第2フェーズの裁判は5月予定で、プラットフォームの設計変更や追加賠償が検討される。
560億円は大金だけど、Metaにとっては四半期利益の4%程度。お金より怖いのは「Section 230が通用しなくなった」という前例。これが確定したら、SNS業界の全体の地形が変わる。
この記事が役に立ったら共有してください
