OpenAIがSoraを終了。「AIがハリウッドを滅ぼす」と煽られたAI動画、たった6カ月で終わった理由
OpenAIがリリースから6カ月でAI動画生成アプリ「Sora」を終了。Disneyと1000億円超の提携を結んだはずが、あっさり撤退。AI動画は本当にハリウッドを置き換えるのか——業界が自問する転換点が来た。

「AIがハリウッドを終わらせる」——2年前、そう言われたOpenAIのSoraが、ひっそりと終わった。
リリースはたった6カ月前。それが今週、OpenAIはSoraアプリおよび関連動画モデルをすべて終了すると発表した。TechCrunchの取材によれば、OpenAIはIPO前に「ビジネス・エンタープライズ・開発ツール」に集中する方針を固め、消費者向けソーシャル動画はその外にある、という判断を下した。
Disneyとの1000億円超の提携も「なかったこと」に
Soraの終了で最も驚かれた事実は、Disneyとの提携が破綻したことだ。
Varietyの報道によれば、OpenAIとDisneyは約10億ドル(約1500億円)規模の契約を結んでいた。コンテンツ制作にSoraを活用する想定だった。それがSoraの終了により、この提携も事実上消滅した。
「運の良さを忘れた」——OpenAI内部からの辛辣な声
TechCrunchのEquityポッドキャストで、テクノロジーライターのSean O'Kaneが鋭い指摘をした。
「ChatGPTの成功には運の要素があった。OpenAIはそれを忘れて、Soraでも同じことが起きると思っていた」
ChatGPTは2022年11月のリリースから2ヶ月でユーザー数1億人突破という奇跡を起こした。しかし「史上最速のユーザー成長」は1度しか起きない。Soraには、人々が「毎日使いたい理由」がなかった。
AI動画の本質的な問題——「スロップ製造機」という批判
TechCrunchのAnthony Haは、Soraを「人間のいないソーシャルネットワーク」と表現した。
「スロップ(slop)——つまりAIが生成した無意味なコンテンツの海だった。誰の人生も、感情も、そこにはなかった」
これはSora固有の問題ではない。AI動画全般が抱える本質的な欠点だ。技術的にリアルな映像は作れても、それを見たい理由が生まれない。視聴者が求めるのは「誰かの物語」であり、AIは人間が持つ経験や感情の代替にはなれていない。
ByteDanceも撤退——「AI動画バブル」は弾けたか
Soraだけではない。中国のByteDance(TikTokの親会社)も、AI動画生成モデル「Seedance 2.0」のグローバル展開を一時停止したと報じられている。
2年前に「映像制作の革命」と呼ばれたAI動画は、今や各社が慎重姿勢に転じている。
一方で評価されること——「失敗を認める文化」
TechCrunchのKirsten Korosecは、OpenAIがSoraを終了させたことを「成熟の証」と評価した。
「失敗しても素早く方向転換できる。それは実は美徳だ。費やしたコストは膨大だったかもしれないが、続けることの損失はもっと大きかっただろう」
Metaが長年Metaverseに固執し膨大なリソースを失ったのとは対照的に、OpenAIは6カ月で決断した。
日本への影響
日本のクリエイター業界でも、AI動画への期待は大きかった。映像制作コスト削減、個人クリエイターの可能性拡大——そういった文脈で語られてきた。しかしSoraの突然の撤退は、「AIで映像制作が民主化される」という物語に冷や水を浴びせた。
当面はRunway、Pika、Kling(クアプラットフォーム)などが市場をリードし続けるだろうが、「本命」不在のまま群雄割拠が続く見通しだ。
「ハリウッドを終わらせる」はまだ遠い。
ソース: TechCrunch(2026年3月29日)
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