Sony×Honda「Afeela」開発中止。6年の構想が一瞬で消えた理由
Sony×Hondaが電気自動車「Afeela 1」の開発を中止。6年間CESに登場し続けたEVは、1台も市販されなかった。航続距離・価格・タイミング、すべてがずれていた。

Sony Honda Mobility(SHM)が電気自動車「Afeela 1」の開発を中止した。2020年にコンセプト「Vision-S」として発表して以来、CESで4年連続登場し続けた車両が、1台も市販されることなく終わった。
中止の経緯
SHMは3月25日付のプレスリリースで、開発中止の理由をHonda側のEV戦略転換に帰している。Hondaは今月、「0 Series」と呼ばれるEVラインナップを撤回し、157億ドル(約2.3兆円)の損失を計上。グローバルEV市場の変動を受けて、SHMに提供予定だった技術・資産の確保が困難になったとされる。
予約者には全額返金。ただし「Sony-Hondaのパートナーシップについての協議は継続する」と付け加えている。
最初から見えていた問題
Afeelaには構造的な弱点がいくつもあった。
遅すぎたローンチ。2020年の発表から6年。「コンピュータ付きの車」は2020年には新鮮だったが、2026年にはすべての新車が「ソフトウェア定義車両」を標榜する。差別化要素が蒸発した。
スペックの見劣り。航続距離300マイル(約480km)は、Lucid Air(420マイル)、Mercedes EQS(390マイル)、Rivian R1(410マイル)に対して物足りない。価格は9万ドル(約1,350万円)。カリフォルニア限定の初期販売で、セダン型。米国市場が求めているのは電動SUVだ。
「車内エンタメ」という疑問符。PlayStation Remote Play対応、ダッシュボードと助手席前の大画面、車内アプリ群——すべて自動運転が前提の機能設計だったが、完全自動運転はまだ個人向け車両に降りてきていない。止まった車の中でゲームをしたい人がどれだけいるのか。
米国EV市場の逆風
根本的な背景は米国EV市場の減速にある。BloombergNEFは2024年時点で「2030年の米国新車販売の約半分がEVになる」と予測していたが、昨年にはその見通しを27%に下方修正。連邦政府のEV支援削減が直撃した形だ。
HondaはもともとバッテリーEVでは出遅れ組。資金を投じて先行メーカーに追いつく価値があるのか——その判断が、Afeelaの命運を決めた。
この記事が役に立ったら共有してください

