Amazonが、子ども用ヒューマノイドロボットを作るスタートアップをひそかに買収した——「家に置けるロボット」の時代が、本当に来る
Amazonがヒューマノイドロボットスタートアップ「Fauna Robotics」を買収。子どもサイズの2足歩行ロボット「Sprout」が家庭に入り込む時代が近づいている。

Amazonが、ヒューマノイドロボットスタートアップ「Fauna Robotics」を買収したことが明らかになった。金額は非公開だが、元MetaとGoogle出身のエンジニア2人が2024年に創業したこの会社は、「家庭に置けるロボット」を作ることを目標にしていた企業だ。
3.5フィートの「子どもサイズ」ロボットが、Amazonの新しい武器になる
Fauna Roboticsが2026年初頭に発売した「Sprout(スプラウト)」は、身長106センチ、体重23キロの2足歩行ロボットだ。価格は5万ドル(約750万円)と決して安くはないが、その設計思想は競合とまったく異なる。
Tesla OptmusやFigure AIのような「倉庫での重労働を担う筋肉系ロボット」ではなく、Sproutは「人に怖がられないロボット」を目指して設計された。頭部は角の丸い四角形、動きはゆっくりで柔らか。「ダンスを踊れる」「おもちゃを拾える」「椅子から自力で立ち上がれる」——それがSproutのスペックだ。
初期顧客にはDisneyとHyundaiのBoston Dynamicsが名を連ねていた。家庭や学校、テーマパークでの社会実装を想定した研究用プラットフォームとして、約50社の研究開発パートナーに提供されていた。
なぜAmazonはヒューマノイドに手を出すのか
Amazonはこれまでも「倉庫ロボット」の分野では圧倒的な存在感を誇ってきた。2012年にKiva Systemsを7億7500万ドルで買収して以来、現在では100万台以上のロボットが倉庫を動き回っている。
だが今回の買収は、そこから一歩踏み込んだ「消費者向け」への挑戦だ。
Amazonにはすでに「Alexa」という家庭のAIアシスタントがある。Echo端末を通じて数千万台規模のデバイスが家庭に普及している。そこにFaunaのヒューマノイドロボット技術を掛け合わせれば、「音声アシスタントに体を与える」というシナリオが現実味を帯びる。
「Alexaが話す。Sproutが動く。」——そういう未来を、Amazonは本気で描いているのかもしれない。
Amazonの広報担当者はTechCrunchに対し、「Faunaのビジョンに興奮している。顧客の生活をより良く、より楽にする新しい方法を発明することを楽しみにしている」とコメントした。
今月すでに2社目の買収——ロボット帝国の構築が加速している
実はAmazonは今月だけで2社のロボットスタートアップを買収している。
3月19日には、スイスを拠点とする自律型ロボットスタートアップ「Rivr」の買収も発表した。Rivrは階段を登れる配送ロボットを開発している企業だ。Fauna Roboticsと合わせると、「倉庫→玄関→家の中」というロボットの動線が、Amazonの手の中に入りつつあることがわかる。
さらに2024年には、Roombaで知られるiRobotの買収を試みたものの、米欧の規制当局からNoが出て断念した経緯がある。あの苦い経験を踏まえた上で、今度は小さくスタートアップを買い集める戦略に転換したようにも見える。
日本への影響:「家庭用ロボット」市場、勝者はAmazonになるのか
日本ではソフトバンクのPepperが2015年に一世を風靡したが、その後は「役に立つロボット」とは言えない状態で普及が止まった。SONYのaiboのように「愛玩ロボット」路線に振り切るか、あるいはFaunaのように「実用的かつ怖くない」路線が必要だった。
今回のAmazonによるFauna買収は、その答えのひとつかもしれない。
Amazonプライムの利用者数は日本で3000万人を超えている。Echo端末もすでに多くの家庭にある。そこへ「喋って動くロボット」が加わる可能性を、日本のロボット・家電業界は軽視できないはずだ。
価格が5万ドルから一般消費者向けに下がり、「1万ドル以下のSprout」が登場する日は、思っているより早く来るかもしれない。
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ロボットは倉庫を出て、今度は「リビングルーム」へ向かっている。Amazonがその扉を開けようとしている。
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