SK hynix、最大1.4兆円規模の米国上場を準備。AI半導体の「メモリ不足」は解消に向かうのか
SK hynixが米国ADR上場に向けてF-1を秘密提出。最大140億ドル調達で「RAMmageddon」解消への布石となるか。

韓国メモリ半導体大手のSK hynixが、米国での株式上場(ADR)に向けてForm F-1を米証券取引委員会に秘密裏に提出した。上場時期は2026年下半期を見込んでおり、調達額は100〜140億ドル(約1.4兆円)に達する見通しだ。
SK hynixはすでに韓国KOSPI市場に上場しており、時価総額は約440億ドル。しかし同じ半導体メモリ事業を手掛けるMicronなど米国勢と比較して、バリュエーション倍率は恒常的に低い。ソウルの半導体アナリストは「ファンダメンタルズではなく上場地域がディスカウントの原因」と指摘する。
今回の米国上場の背景にあるのは、AI需要の急増だ。SK hynixが製造する高帯域メモリ(HBM)は、NvidiaをはじめとするAI半導体の中核部品。だが供給不足が深刻化しており、業界では「RAMmageddon」(メモリ大戦争)と呼ばれる状況が2027年まで続くとNature誌が報じている。
CEO権五鉉(ノ・ジョンクァク)は3月25日の株主総会で、AI時代の成長を支えるために約75億ドルの純現金を確保する方針を示した。2050年までに韓国・龍仁に約4000億ドル規模の半導体クラスターを建設する計画のほか、米インディアナ州にも33億ドルを投じて新工場を建設中だ。
さらにASMLから79億ドル相当のEUVリソグラフィスキャナーを2027年までに調達する契約も発表。HBM生産能力の拡大に本腰を入れている。
SK hynixの動きは韓国半導体業界全体にも波及している。大株主のArtisan Partnersは、Samsung Electronicsにも米国上場(ADR)を検討すべきだと公に提言。韓国企業のバリュエーション・ディスカウント問題が改めて浮き彫りになった格好だ。
一方、GoogleはAIメモリ使用量を大幅に圧縮する「TurboQuant」技術を今週発表しており、RAMmageddonの解消はハードウェア増産とソフトウェア最適化の両面から進む可能性がある。
SK hynixの米国上場が実現すれば、今年最大級のIPOとなる。AI半導体の供給制約がいつ解消されるかは、市場全体の関心事だ。
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